食品添加物の種類や役割、安全性について解説します。保存料や着色料などの具体的な添加物の特徴や健康に関する課題、消費者の見解など、添加物についての正しい理解を深めましょう。
添加物とは
添加物とは、食品に目的を持って加えられる物質のことです。その役割は非常に幅広く、食品の保存性を向上させたり、見た目や風味を改善するために使われます。消費者にとっては、食品が長持ちしたり、食べやすい形に加工されることで、日常生活の利便性が向上しています。しかし、その一方で、添加物についての安全性や健康への影響についても気になるところでしょう。
添加物の種類
- 添加物:保存料
- 添加物:着色料
- 添加物:甘味料
- 添加物:乳化剤
- 添加物:酸化防止剤
- 添加物:増粘剤・ゲル化剤
- 添加物:防カビ剤
添加物:保存料
保存料は、食品を長期間保存できるようにするための添加物です。食品のカビや細菌の繁殖を防ぎ、品質を保つ役割があります。代表的な保存料にはソルビン酸やベンゾ酸ナトリウムなどがあり、特に加工食品や飲料などでよく使用されます。
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安全性
ソルビン酸やベンゾ酸ナトリウムは、JECFA(国際食品添加物専門家会議)により安全性が評価されています。適切な使用量であれば健康に悪影響はないとされていますが、一部の研究では高濃度での使用が健康リスクを引き起こす可能性があるため、規制された量での使用が推奨されています。
過剰摂取量
ソルビン酸の一日許容摂取量(ADI)は0〜25 mg/kg体重です。これを超える摂取は健康リスクを引き起こす可能性があります。
添加物:着色料
食品の見た目を美しくするために使用されるのが着色料です。自然由来のものと合成のものがあり、例えばカラメル色素やタール色素が知られています。着色料を使用することで、食品に魅力的な色合いを与え、食欲を引き立てる効果があります。
安全性
カラメル色素やタール色素は、JECFAや各国の食品安全機関によって評価されており、適切な使用量での安全性が認められています。しかし、一部の合成着色料については、過剰摂取が健康に悪影響を与える可能性があるため、使用量に規制があります。これに関しては、国際的な基準で厳格に管理されています。
過剰摂取量
タール色素の一日許容摂取量(ADI)は0〜7.5 mg/kg体重です。これを超えると、アレルギー反応や行動面の変化が懸念されます。
添加物:甘味料
甘味料には、砂糖の代わりに甘さをつけるための添加物があります。自然甘味料と人工甘味料に分けられ、ステビアのような自然由来のものや、アスパルテームといった人工の甘味料が存在します。糖質を抑えたい食品やカロリーを気にする食品に使用されることが多いです。
安全性
ステビア(自然由来)やアスパルテーム(人工甘味料)は、JECFAによって一日許容摂取量(ADI)が設定されており、この範囲内での使用が安全とされています。特にアスパルテームは、長期間の摂取に関するデータが蓄積されており、規制された範囲内であれば健康に問題がないとされていますが、一部の個人ではアレルギー反応が報告されています。
過剰摂取量
アスパルテームの一日許容摂取量(ADI)は40 mg/kg体重です。過剰な摂取は、頭痛やめまい、消化不良などの症状を引き起こす可能性があります。
添加物:乳化剤
乳化剤は、水と油のように混ざりにくい成分を均一に混ぜるために使われる添加物です。代表的なものにはレシチンがあり、マヨネーズやドレッシング、アイスクリームなどに使われています。これにより、食品の質感を滑らかにし、安定した品質を保つことができます。
安全性
レシチンなどの乳化剤は、広く使用されており、各国の食品安全機関によって安全性が評価されています。これらは食品において安定した品質を保つために使用されますが、大量に摂取するとまれに消化不良などの影響があるため、適切な使用量での摂取が推奨されています。
過剰摂取量
レシチンの一日許容摂取量(ADI)は設定されていないものの、通常の食品中の使用量であれば安全とされています。しかし、大量に摂取すると消化不良を引き起こす可能性があります。
添加物:酸化防止剤
酸化防止剤は、食品の酸化を防ぐために使用されます。例えば、ビタミンC(アスコルビン酸)やBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)がこれに当たります。酸化による変色や風味の劣化を防ぎ、食品の品質を保ちます。
安全性
ビタミンC(アスコルビン酸)やBHTは、酸化防止効果があり、安全性についてJECFAや各国の食品安全機関で確認されています。ただし、BHTに関しては高濃度での使用が一部の動物実験で発がん性のリスクと関連する可能性が示唆されており、規制された使用量での使用が推奨されています。
過剰摂取量
BHTの一日許容摂取量(ADI)は0〜0.3 mg/kg体重です。これを超えると、肝臓への負担や発がん性のリスクが懸念されます。
添加物:増粘剤・ゲル化剤
増粘剤やゲル化剤は、食品に粘りやとろみを加えるために使われます。カラギーナンや寒天がよく知られており、プリンやゼリー、ドレッシングなどに利用されます。これにより、食品の食感を調整し、より好ましい触感を与えることができます。
安全性
カラギーナンや寒天などの増粘剤・ゲル化剤は、食品の食感を調整するために広く使用されています。これらの安全性は、JECFAによって評価されており、適切な使用量であれば健康に問題はないとされています。ただし、一部の研究ではカラギーナンが消化器系に影響を与える可能性が示唆されているため、注意が必要です。
過剰摂取量
カラギーナンの一日許容摂取量(ADI)は設定されていませんが、過剰摂取は消化器の炎症や不快感を引き起こす可能性があります。
添加物:防カビ剤
防カビ剤は、主に果物や野菜の保存に使用される添加物です。イマザリルなどが代表的で、これらは果物の表面に使われ、カビの発生を抑え、長期間の保存を可能にします。
安全性
イマザリルなどの防カビ剤は、主に果物や野菜の保存に使用され、安全性についてJECFAや各国の食品安全機関で評価されています。ただし、長期間の摂取や高濃度での使用に関しては健康リスクの可能性があるため、果物の表面の洗浄が推奨されています。
過剰摂取量
イマザリルの一日許容摂取量(ADI)は0.05 mg/kg体重です。過剰な摂取は内臓に影響を与えるリスクがあるため、果物や野菜の表面をよく洗うことが重要です。
添加物の分類方法
- 用途別分類
- 化学的な特性別分類
- 国際的な基準に基づく分類
用途別分
例えば、保存料、着色料、甘味料といった目的に応じた分類があります。各用途に応じて添加物の役割が異なります。
化学的な特性別分類
また、自然由来か合成かという点でも分類されます。自然由来の添加物は、植物や動物などの天然素材から抽出されるのに対し、合成添加物は化学的に作られたものです。
国際的な基準に基づく分類
国際的な基準としては、JECFA(国際食品添加物専門家会議)やCodex規格によって分類され、安全性が評価されています。
添加物の安全性
- 添加物の規制と基準
- 摂取量と影響
添加物の規制と基準
添加物は厳しい規制のもとで使用されています。日本では厚生労働省が基準を設けており、国際的にもJECFAやCodexなどの基準が存在します。これにより、添加物の安全性は科学的に評価され、使用量が管理されています。
摂取量と影響
添加物の安全性は、一日許容摂取量(ADI)という指標で管理されています。ADIは、生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないと考えられる一日の最大摂取量です。この基準を守ることで、過剰摂取によるリスクを防ぐことができます。
添加物の課題
- 添加物の課題
添加物の課題
一方で、添加物には健康への懸念もあります。例えば、一部の添加物はアレルギーの原因になることがあり、過剰な摂取が健康に悪影響を与える可能性も指摘されています。これにより、添加物を避けた「無添加」食品の人気が高まっています。
添加物に対する消費者の見解
- 消費者の意識
- 無添加製品の増加
消費者の意識
多くの消費者は添加物に対して不安を感じていますが、その一方で添加物の利便性を理解している人もいます。情報不足からくる誤解や過剰な不安があるため、正しい知識の普及が重要です。
無添加製品の増加
無添加食品は、添加物に対する不安を感じる消費者にとって魅力的です。しかし、無添加であることのデメリット(保存が効きにくい、コストが高いなど)も理解することが大切です。
結論
添加物は、私たちの生活に多くの利便性をもたらしており、安全に利用するための規制が整っています。しかし、添加物に対する正しい理解と情報の普及が求められています。消費者は、自分の健康と生活スタイルに合った食品を選択するために、添加物についての正確な情報を持つことが重要です。
引用元:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/69/1/69_8/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/69/1/69_12/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/consumercoopstudies/530/0/530_27/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/131/7/131_7_1027/_pdf/-char/ja
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